長瀬 拓也(著/文)、藤原 智也(監修)
教員採用試験の受け方,受かり方だけでなく,教師に「なる」ために知っておきたいこと,学生時代にやっておきたいことなど,さまざまな角度からサポートします。
「一ツ橋書店」の復刻版が全面リニューアルして,ついに登場!
将来「教師になる」という目標をもった人に向けて,20~50代までの幅広い世代の教師が自身の経験と反省をいかしながら,その学び方や方法をアドバイス。教員採用試験の受け方,受かり方だけに特化するのではなく,教師に「なる」ために知っておきたいこと,学生時代にやっておきたいことなど,さまざまな角度から教師になりたい人をサポートします。「教師になるにはどうすればよいか」,その根本を丁寧に綴った,教師をめざす,すべての人に贈る一冊です。
2022年7月1日 刊行/四六判 224ページ
定価1,600円+税
ISBN 978-4-904933-18-3
長瀬 拓也(著/文)、藤原 智也(監修)
【はじめに】
本書は,主に
・大学生で教師をめざして学んでいる人
・教員採用試験を控えている人
・社会人でこれから教師になりたい人
・高校生でこれから教師をめざそうとしている人
に向けて書かれた一冊です。また,教・師を育てる人,育てていきたい人
にも読んでいただきたいと考えています。まさに,「教師になる」人のための本といえるでしょう。
この本を書くきっかけとなったのは,大学の卒業生で立ち上げた教育サークル「未来の扉」という,先生たちの小さな勉強会の集まりからでした。幼稚園から中学校まで幅広い学校種の先生が集まり,クラスや授業について年に数回集まって学び合っていました。教師をめざす人も参加できるようにし,教師になるためにどんなことを学べばよいか一緒に考えていました。
このサークルをはじめてさまざまなことがわかりました。
例えば,
「大学が教育学部ではないのでやっていけるかどうか」
「教師になるために何を学べばよいかわからない」
「教員採用試験に受かったけれど,これからどうすればよいか」
といった不安を口にする人がいること。つまり,教員採用試験向けの勉強はしてきた(している)が,教師としてやっていけるか不安であるということでした。こうした「声」に何とか応えたい。そんな思いではじまったのが,「教師になるにはどうすればよいか」を丁寧に書いた本をつくることでした。
私自身,大学を卒業して,すぐ小学校の先生になりました。大学でも自分としてはそれなりに学び,サークル活動も行い, 教育実習もがんばりました。自分なりに自信がありました。
しかし,初任者としての一年間は,身も心もぼろぼろになっていました。4 月のはじめ,子どもたちは簡単に話を聞いてくれませんでした。何より,席に座ってくれるかどうかも怪しいところがありました。先輩の先生たちに支えてもらいながら,結果的にはうまくいきましたが,多くの失敗と反省を繰り返した一年でした。初任の頃,子どもたちに鍛えてもらえたからこそ,いまがあると思っています。でも,もしあのとき,力尽きて辞めていたかもしれないと思うことがあります。
こうした経験は私だけではなく,この本を執筆したメンバーにも少なからずありました。そこで,教師をめざしている大学生や,「教師になってみたい」と思っている高校生などに向けて,教員採用試験の受け方,受かり方に特化するだけではなく,私たちの反省や経験をいかしながら,「教師になる」ために学ぶとよいこ
とや,その方法を伝えたいと思いました。
2020 年からは新型コロナウイルスによって,児童生徒はもちろん,学校の先生にとっても苦しい状況になりました。教育実習があまりできなかったり,初任者指導がオンラインになってし
まったりしたこともありました。経験がないなかで,学校現場に向かうことはとても勇気が必要です。こうしたことも踏まえ,これから学校現場に出ていく方や若い先生にとって少しでもサポートができる本になればと思っています。
また,今回は,管理職を務めている方も含め,女性の先生にも執筆していただき,女性の立場から書かれたページも増やすことができました。そして,20 代から50 代までの幅広い年代の先生に書いてもらうことで,若い先生を支えるさまざまな世代の方にも読んでいただけると思っています。
【これから教師をめざすみなさんへ】
教師をめざしてくれてありがとう。
まず,そのことを読んでくださるあなたに伝えたいです。そして,いま教師をめざすかどうかを考えているみなさん。教師の仕事をおすすめします。ぜひ一緒に教師として働いてみませんか。
メディアから伝わる教師のイメージは必ずしもよいものばかりではありません。仕事の忙しさや大変さ,児童生徒への対応の難しさ,保護者からの訴えなど,数えあげればきりがありません。
いま,学校現場では,教師が足りません。教師へのバッシングや学校現場の大変さ,そして,多くの教師が定年退職されていくなかで,教師不足は深刻です。そうしたなかで,「教師になろう」と望んでくれることは,同じ学校現場にいる者としてとても心強く思います。
教師の仕事は,忙しく,大変。たくさんの苦労をします。
しかし,私たち教師は,かけがえのないものを手に入れることができます。それは,人が成長するということです。私たちは,教科書の内容を教えているだけではなく,「人を育てる現場」に立ち会っています。それが何よりの魅力です。
さらに,教師の魅力は子どもたちの笑顔に出会えることです。
10 個のうち,大変なことや苦しいことが9 個あったとします。しかし,残りの1 個の,「先生,ありがとう」の一言で疲れや落ち込んだ気持ちが吹っ飛んでしまうことがあります。
・子どもたちと一緒に遊んだこと
・授業が楽しくできたこと
・子どもたちがいろいろ話しかけてきてくれたこと
・指導がうまくいって子どもの成長につながったこと
・子どもたちが「先生」と慕ってくれたこと
・保護者の方からお礼を言ってもらえたこと
・教え子が成長して声をかけてくれたこと など
振り返ると,すてきな思い出ばかりです。それが教師の仕事のよさでもあると思います。しかし,その喜びに出会う前に教師を辞めてしまうことも少なくありません。
多忙さに追われ,子どもたちの反発に悩み,保護者からのバッシングにさらされることもあるでしょう。そういったことが少しでも改善され,子どもたちや自分自身のプラスになるにはどうすればよいか。そこに本書が大切にしている「教師の学び方」が関係しています。
うまくいかないこと,大変なこともきっとあると思いますが,「お金には換えられない価値」がこの仕事にはあります。努力は裏切りません。がんばった分だけ,よいことがきっとあります。そのために本書を通して,教師になるためのお手伝いをさせてください。
私たちと一緒に,教師の仕事をしてみませんか?
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