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【新刊案内】沖縄科学技術大学院大学は東大を超えたのか―日本を「明治維新の呪縛」から解放し、新しい可能性を探求する―

沖縄科学技術大学院大学は東大を超えたのか―日本を「明治維新の呪縛」から解放し、新しい可能性を探求する―

鈴木 崇弘(編著)

日本が「失われた×年」といわれてはじめて、10年、20年、30年……。
かつて国際社会で目覚ましい発展を遂げてきた日本は、今ではただ停滞の時を重ねるばかりである。

それは日本が、明治維新で得た近代化の成功体験から抜け出せず、「明治維新モデル」ともいうべきやり方にいつまでも固執しているからだ。
日本企業や教育機関の国際競争力がのきなみ低下していく中、沖縄県科学技術大学院大学(OIST)は、Nature Index2019年版「質の高い研究機関ランキング」において世界9位(日本1位)を獲得した。
数々の政策関係機関に携わり公共政策を研究してきた著者は、OISTに日本が進むべき方向性と新たな飛躍の可能性を見出す。
なぜOISTに優秀な人材が集まるのか、OISTの存在が日本にもたらす意味とは……実際に客員研究員としてOISTに滞在した筆者が、その内実を詳しく解き明かす。

2024年7月15日 刊行/新書判 280ページ
KS21みらい新書 第2刊
定価1,360円+税
ISBN 978-4-904933-20-6
鈴木 崇弘(編著)


編著者 鈴木 崇弘 先生
栃木県宇都宮市生まれ。東京大学法学部卒。さまざまな分野の公共政策を専門とする政策研究者。
東京財団(現東京財団政策研究所)、阪大FRC、一般社団法人シンクタンク2005・日本(自民党の政党シンクタンク)、東京電力福島原子力発電所事故調査委員会事務局などの設立や運営等に関わる。大阪大学特任教授兼同大学FRC副機構長、中央大学大学院公共政策研究科客員教授、厚生労働省総合政策参与(大臣付)などを歴任。現在、早稲田大学招聘研究員、政策基礎研究所(EBP)顧問、Yahoo!ニュースのオーサー等も務める。主な著書に『日本に「民主主義」を起業する』『シチズン・リテラシー』『Policy Analysis in Japan』など。


目次

はじめに
第1章 日本の現状 その国力とイノベーションの可能性
(1)日本や日本企業の力の低下 
(2)日本の研究開発力 
(3)知的源泉としての大学 
第2章 東京大学 日本の近代化における発展のエンジン
(1)日本の近代化と明治維新 
(2)近代化における東大の役割 
(3)国際社会における日本の大学および東大の置かれた位置付け
第3章 沖縄科学技術大学院大学(OIST)21世紀における日本再起動のエンジン
(1)事始め 
(2)概略 組織や設立の経緯について
(3)組織運営は「総合芸術」である 
(4)研究活動について 
(5)総合芸術としてみたとき…その舞台・セット・小道具・大道具 
(6)「特区」「出島」としての役割…その意味とユニークさ
(7)問題と課題…さらなる発展のヒントとして 
第4章 沖縄科学技術大学院大学(OIST)と東大 その比較と教訓
第5章 日本の新しい可能性を生み出すための提言
(1)持つべき考え方や進むべき方向性 
(2)日本の政府や社会への提言 
さいごに
参考文献

 

~~~本書から~~~

【前書きなど】

 日本が、「失われた×年」といわれはじめたのはいつごろからだったろうか。そのようにいわれはじめて久しいが、×に当てはまる数字は、止まることなく、10年、20年、30年と増加してきた。
 他方、日本は、ある意味穏やかかつ安定的に日常が経過し、一時期「改革」が大きく主張された時期もあったが、その実態は大きく変わることはなかった。
 その間、筆者は、コロナ禍が起きるまでは、海外に何度も足を運び、世界や海外が大きく変化、変貌していくのを実感してきた。そのような世界と比較してみると、良い社会の面も多々あるが、日本は、変化することができず、相対的にかなり遅れた社会になりつつあることを実感してきた。
 筆者自身、政策や政治の分野ではあるが、この30年以上にわたり日本社会の変革に取り組みながらも、日本のそのような実態を知り感じるがゆえに、自分のやってきた活動や努力の意味や活動・役割に対する焦燥感というか、喪失感も強く感じるところである。特に、2010年代以降のこの約10年はその感を非常に強くしてきている。
 しかしながら、筆者は、微弱ながら日本社会の変革に若干でもかかわってきた身として、今もその日本の現状を少しでも改善できないかと考えてきた。そのような考えや活動のなかで出会ったのが、沖縄科学技術大学院大学(OIST)だった。

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